1/11 シンポジウム「質問紙の科学:その可能性と展望」

シンポジウム「質問紙の科学:その可能性と展望」

主催

慶應義塾大学 思考と行動判断の研究拠点

共催

慶應義塾大学 三田哲学会


  • 2014年1月11日(土) 12:30〜18:30
  • 慶應義塾大学三田キャンパス 東館G-SEC Lab (キャンパスマップ)

本シンポジウムでは、社会科学の基本的な方法である質問紙(アンケート)を用いた調査について考える。質問紙は、人々の普段の生活や行動の内容を問うだけでなく、態度、価値観、臨床的特性、パーソナリティなど多様な対象についての調査や測定の重要な道具として利用されてきた。そしてある場合には、その結果が政策や意思決定に利用されたり、回答者の心理的特性を表すものとみなされたりしてきた。しかし、古くから知られているように、設問の構造や特徴によって回答結果には系統的な誤差が含まれ、質問紙調査の測定結果の信頼性や妥当性は必ずしも高くない。それにもかかわらず、こうした設問の選択肢に対する選択行動に関する研究は、特に欧米の研究者によって20世紀後半から細々となされてきただけであるし、そこで得られた知見も活かされているとはいえない。本シンポジウムでは、こうした問題意識に関心のある研究者に集まっていただき、質問紙をめぐる様々な問題点を掘り起こしてみたいと考える。


プログラム: (要旨は以下参照)

12:30-12:35
坂上貴之 (慶應義塾大学文学部)
「開会の辞」
12:35-13:10
木村邦博 (東北大学大学院文学研究科)
「ワーディングの問題に関する実験的調査-認知的アプローチからの説明の可能性-」
13:10-13:45
吉村治正 (奈良大学社会学部)
「調査票はコンテクストを持たない・・・のか?」
13:45-14:20
山田一成 (東洋大学社会学部)
「Web調査における最小限化回答」
14:20-14:30 休憩
14:30-15:05
増田真也 (慶應義塾大学看護医療学部)
「調査の回答における中間選択」
15:05-15:40
広田すみれ (東京都市大学環境情報学部)
「ニューメラシー、個人属性と回答傾向の関係」
15:40-16:15
竹村和久 (早稲田大学文学学術院)
「公理的測定論と行動意思決定論からみた質問紙調査法」
16:15-17:00
--
討議
17:10-18:30 懇親会

シンポジウムに参加をご希望の方は,お手数ですが件名にシンポジウム「質問紙の科学:その可能性と展望」参加希望
本文に(1)ご氏名、(2)ご所属、(3)メールアドレス、(4)参加理由
を記載の上,下記宛にメール下さい.

think-judge@abelard.flet.keio.ac.jp

なお,十分に余裕をもった会場の大きさを準備をしておりますが,収容人数をはるかにこえるような場合が予想されるときには,あらかじめお断りのご連絡を させていただく場合があることをご承知おきください.

以下要旨:

発表者:
木村邦博 (東北大学大学院文学研究科)
題目:
「ワーディングの問題に関する実験的調査-認知的アプローチからの説明の可能性-」
概要:

社会調査実習の授業の一環として実施してきた、質問紙のワーディングの問題に関する実験的調査の結果の中から、特に顕著な傾向が見られたものを取り上げる。キャリーオーバー効果、威光暗示効果、黙従傾向、ダブルバーレル、難解な用語などの問題の例を示し、このような問題がなぜ生じるのか、認知心理学的あるいは認知科学的視点からの説明の可能性について考察する。また、今後の研究の展望についても論じる。

発表者:
吉村治正 (奈良大学社会学部)
題目:
「調査票はコンテクストを持たない・・・のか?」
概要:

質問項目の構成によって調査票にコンテクストを持たせること、これは従来バイアスの源泉であるとして否定的に扱われてきた。ところが近年、調査票にコンテクストを持たせることによって回答者の回答行動が促され、回答拒否や欠損の発生を抑制するという議論が現われている。そこで、この新しい見解を立証すべく、一般人口を対象とした社会調査において二種類の調査票を作成、配布して回収状況を比較した。結果はコンテクスト形成を行った調査票の方が、コンテクスト形成を行わない調査票に比べ、有効回収率で有意に高い回収率を示した。

発表者:
山田一成 (東洋大学社会学部)
題目:
「Web調査における最小限化回答」
概要:

Web調査の一般化とともに、その方法論的基礎に関する実証研究の必要性が高まっている。本報告では、そうした問題意識に基づき、まず、回答者の回答傾向に関するこれまでの論点を概観する。そのうえで、特に、Web調査における最小限化回答(satisficing)に注目し、その影響の大きさについて報告するとともに、適切な調査設計について考える。なお、サーベイの管理という視点から、回答時間の活用方法についても議論する予定である。

発表者:
増田真也 (慶應義塾大学看護医療学部)
題目:
「調査の回答における中間選択」
概要:

社会調査の多くの設問で、中間に位置する回答カテゴリが過度に選択されることが知られている。こうした中間選択は、回答者の中立的態度や意見を必ずしも反映しているわけではなく、「わからない、関心がない、答えたくない」といった様々な理由から生じる。したがって、他のカテゴリと連続した値として見なすと、重大な結果の誤りを導きうる。中間選択に影響する要因とその制御、及び今後の研究について展望する。

発表者:
広田すみれ (東京都市大学環境情報学部)
題目:
「ニューメラシー、個人属性と回答傾向の関係」
概要:

近年意思決定分野では数量情報へのリテラシーであるニューメラシーの意思決定バイアスへの影響が注目されているが、これは質問紙に対する個人属性の影響とつながっている可能性がある。そこで本報告では広田(2012, 2013)に基づき、ウェブ調査からリンダ問題や共変関係課題等よく知られた意思決定課題における個人属性やニューメラシーによる違いの分析結果を報告し、質問紙での回答傾向との関係について考察する。

発表者:
竹村和久 (早稲田大学文学学術院)
題目:
「公理的測定論と行動意思決定論からみた質問紙調査法」
概要:

本発表では、公理的測定理論の観点からみた質問紙調査におけるデータの特徴、その測定論的位置づけについて理論的考察を行い、次に、近年我々が進めている行動意思決定研究における理論的研究から質問紙調査における判断回答の傾向をどのように考えたらよいのかについて理論的考察を行う。特に、判断における評価関数の性質(Takemura, 2001; 2013)などから判断回答の傾向についての考察を行う。


詳細プログラムはこちら

主催:
慶應義塾大学「思考と行動判断」の研究拠点
共催:
慶應義塾大学 三田哲学会

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公開日時: December 06, 2013 00:35


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